私の個人的なラグビー愛、W杯感想です。 長文ですので、ご興味がある方のみお読みください。笑
私がラグビーを始めたのは高校1年のとき。 中学校までアルペンスキーと陸上と個人競技だったので、チーム競技がやりたかった。 ただ当時の流行りだったサッカーの流れには乗りたくないし、バスケットやバレーなどは中学からの経験者が圧倒的に有利なので、自信なし・・。
当時はルールも全くわからず、TVもほとんどみたことがなく名前だけ知っている程度だったラグビー。 身体は大きい方だったので、やってみようかと思って始めたのがきっかけでした。
その年、1995年ラグビーW杯が行われ、日本がニュージーランドに17-145で歴史的大敗をした大会でした。
ラグビーって力の差がはっきり出るスポーツなので、かなり点差がつくことが多いです。 特に高校生などでは100点ゲームというのはたまにみます。 自分も高校2年のときは、札幌予選で「2試合連続100点零封!2年生パワー炸裂!!」って地方スポーツ新聞に取り上げられたことを懐かしく思います。 しかしその私たちが全道大会で0-83でボコボコにされ、その相手も全国大会でシード校に70点差で敗れ、そのシード校も次の試合で・・・。 とどれだけ力の差があるんだと、当時は果てしなく思ったものです。 そんな日本の代表が145点を取られて敗北。 ニュージーランドはヤバい・・・という印象が一番残っています。笑
よく報道されている通り、2015年W杯のあの有名な「ブライトンの奇跡」で日本が南アフリカに勝つまでは、日本ラグビーは暗黒の歴史だったんだと思います。
それまでの日本代表の試合をみていると、前半はけっこう接ったいい試合をしていましたが、後半に突き放されるという展開が多かったです。 それを変えたのが、2011年に就任したエディー・ジョーンズHC(現イングランドHC)。
日本人の勤勉さに着目して、徹底的に身体を作り、フィットネスを鍛えたそうですね。 筋トレやフィットネス・トレーニングが嫌いだった自分にとって、想像するだけで吐き気のする内容です。笑
ラグビーのフィットネスっていうのは、ただ長距離を走るだけの持久力とは大違いなんです。 当たって倒れて、すぐ起きてまた当たって・・・。 こういう接触プレーがあると、身体が全然動きません。 1分やるだけでめちゃめちゃつらいです。 しかも接触プレーで相手が強いとなおさらです。 一つひとつの接触プレーで体力が奪われ、(ボクシングのボディブローのように)、後半に走れなくなる・・・。
だからスクラムっていうのはラグビーではすごく大事なんです。
日本代表は、身体を作り、フィットネスでは海外の選手には絶対に負けないくらいの練習をした。 それが自信となって、後半でも海外に負けないチームに、むしろ体力では相手負けず、後半の後半に日本が優位に立てるようになった。
そういうチームにしたのがエディー・ジョーンズHC。 この功績は大きいですね。 ただプレースタイルに関しては、とことん基本に忠実に・・・というスタイル。 みていておもしろくないラグビーかもしれません。 たしかに日本人だからそれができなのかもしれませんね。
今大会でオフロードパスとか話題にされていますが、あれはリスクのあるプレーなので、基本練習では絶対にしません。
特に相手が強いとその基本が大事になってくる。 むしろ基本をしっかりしないと、ボールを取られてしまう。 接触プレーで相手を上回ることで、初めてオフロードパスが可能となってくるんです。
オフロードパスはジェイミーHCになってからみられるようになったプレー。 海外のラグビーリーグに日本選手が参戦するようになって、世界のレベルを体感した上で、世界と肩を並べるにはなにが必要かを考えた結果なのでしょう。
ただオフロードパスは、味方が後ろにフォローにきているという結束力がないとできないプレーでもあります。
そのためのONE TEAMでもありますね。
また2015年に日本がW杯で南アフリカを破って3勝したことで、世界の伝統国に認められるようになり、ティア1と呼ばれる強豪国の国々とテストマッチを組むことができるようになった。 そして高いレベルの国際試合を経験できた。 それが強くなった一番の要因だと思っています。 勝つためには、まず相手を知ることですね。
そういう意味で前エディーHCの功績は大きかった。 そのエディーHCが作った土台に、ジェイミーHCの経験と勝つための戦略が上乗せされたのが、今回の日本代表だったのだと思います。 そしてONE TEAMとしてチームをまとめたのがジェイミーHCの功績だと思っています。
私は日本W杯が盛り上がるかはすごく心配でした。 2015年の南アフリカの勝利は、明らかに相手が日本をなめてかかっていたところがあったから。 日本が強くなったとしても、ティア1の強豪国が、徹底的にマークしてこられると、正直勝てないと思っていたから。 そして日本が勝てないとW杯も盛り上がらないと思っていたので、心配でした。
日本は試合日程がよいので、アイルランドに負けても、なんとかスコットランドに勝てないかなぁと思っていたところでした。
ところが、アイルランド、スコットランドに完勝! これには驚きました。 本当に強くなったんだなぁと。
そしてメディアも盛り上げてくれて、オフロードパスとかジャッカルとか、ラグビーを知っている人でしか絶対に出てこない言葉も、よく聞かれるようになった。
そしてノーサイドとかラグビーのプレー以外でもラグビーの魅力を大いに伝えてくれた。 本当にうれしいことです。 野球、サッカーという日本2大スポーツと肩を並べるくらいになってくれればうれしいです。 実際に小中学生のラグビーをやる人たちは急増しています。
それもやはり日本代表の選手たちがつらい練習を経験してきた結果だと思っています。 本当に自分や家族の時間を犠牲にして練習してこないとここまでの結果は出なかったと思います。 そして選手だけでなく、支えた家族やサポート選手、コーチ陣や協会関係者、みんながONE TEAMとなった結果じゃないかなと思っています。
2009年に今年のラグビーW杯が日本で行われることが決まったときはそれを知っている人はほとんどいなかったと思います。 それが2015年の南アフリカ戦での勝利で注目を集め、大会直前のドラマ「ノーサイド・ゲーム」でラグビーに興味を持った方もいるかと思います。 大会誘致に動いた人たちや、少しでも大会を盛り上げようとさまざまな努力をしてくれたメディアの人たち、そしてラグビーの魅力に広めようとしてきたラグビー経験者。 みんなの思いを選手たちが代弁してくれたような気がします。
南アフリカ戦、視聴率が平均41%、最大49%だったようですね。 日本中がラグビーで盛り上がる日が来るとは・・。 にわかファンとは違った意味で、選手や関係者にありがとうです。 私も微力ながら大会に関われたことをうれしく思います。
ただ・・ 先日の南アフリカ戦では、日本のオフロードパスはほとんどなかった。 というかできなかったんだと思います。 それは南アフリカの圧力が強くて・・・ ラインアウトでの制空権を奪われ、逆にラインアウトからのモールで押される。 日本がやりたかった展開ラグビーをBKの早い出足で封じられ、ラインアウトも押されるためキックもできない。 日本の攻め手をことごとく封じた南アフリカの完勝でした。 日本もいろんな分析をして、サインプレーを考えていましたが、南アフリカの本気には敵わなかった、そんな感じでした。
そしてベスト8を目標としていたチームと、優勝を目標としているチームの差も感じました。 またやはり個々のフィジカルの差も。 死力を尽くしてアイルランド、スコットランドを倒して勝ち上がってきた日本と、まさにこれからの決勝トーナメントが勝負の南アフリカ。 個々の体力の差が歴然で、これまでの疲労の蓄積で、日本の強みであった後半の後半で、日本が動けなかった。 世界の壁は高いなと改めて実感しました。
次のレベルに行くには、やはり日本全体のラグビーの底上げが必要だと思います。 ラグビー人口や選手層の厚さや、日本国内リーグの盛り上がりなどですかね。
でも今回の盛り上がりで、その基盤はできたと思います。 多くの海外の選手も日本でのW杯は良かったと言ってくれていますし、日本のリーグにくる海外選手も多いでしょう。 そのためには国内リーグをもっと盛り上げなくてはなりませんし、これまでのような企業主体ではダメだと思います。 ラグビー日本協会清宮副会長(日ハム清宮選手の父)が掲げている2021年からの地域密着型のラグビー新リーグに多いに期待です。 ぜひ札幌にもチームを・・
私も医療という立場から、選手のケガのサポートやケガの予防、グランドドクターなどラグビーに恩返しをしていければと思っています。
さて、エディ・ジョーンズ率いるイングランド、常勝チーム、オールブラックスのニュージーランドの準決勝。
生のハカがみれるのがうれしい。
そして頂点をかけた決勝戦も。 「一生に一度」を堪能してきたいと思います(個人的には生きているうちにまた日本でW杯はあると思っています)。
これを見るために4年間貯金しました。
決勝戦までにわかファンのラグビー熱が冷めず、視聴率が20%くらいいってくれることを願います。