『免疫力を高める食生活①~免疫力って何?!』
みなさま、こんにちは。
Do-Clinic栄養担当の小松でございます。
これから4週に渡って、『免疫力を高める食生活』について色々と書かせていただきます。
初回は「免疫力って何」と題して、免疫の概要と“食生活”との関わりについて説明します。
【免疫力】
実は免疫学に“免疫力”という言葉はありません。
おそらく抵抗力のことを指して“免疫力”と呼んでいると思われますが、みなさまに理解していただけるように、あえて“免疫力”という言葉を使わせていただきます。
さて、免疫力を高めるために必要なことは何でしょうか。
免疫力を高めるためには4つの要素があると言われています。
①粘膜などのバリア(ウイルスや細菌が細胞内に入り込むことを防ぐ)
②免疫細胞の働き(ウイルスや細菌を撃退する)
③獲得免疫(抗体など、以前に感染した病原に対する抵抗力)
④HLAの型(血液型のように抗原には型があります)
これら4つの要素で“食生活”と関係があることは、“粘膜などのバリア”と“免疫細胞の働き”であると考えます。
①粘膜などのバリアには、粘膜の材料になる栄養を食事として適正にとること。(必要な栄養素はレシピに盛り込みます)
②免疫細胞の働きには、特に腸内の免疫細胞との関係が研究されており、善玉の腸内細菌を増やすことで腸の免疫細胞が活発に働いてくれることが分かってきています。
そこで、ここから先は“腸内細菌と食生活”をターゲットに解説させていただきます。
【腸内細菌のおはなし】
人の腸内細菌は50兆個とも言われています。
余談ではありますが、乳酸菌入りのチョコレートを食べて1億個の乳酸菌を腸に届けても、50兆分の1億(0.0002%)と大した数ではありません。
むしろチョコレートで乳酸菌と同時に食べてしまう“脂肪と糖”の方が問題です。
また、細菌には変わった特長があります。
例えば“とても強くて悪い菌”が1つあったとしましょう。
“強くて悪い菌”なのですが、“弱くて良い菌”が20個ある中に入り込んだとしても、“強くて悪い菌”は生きていくことができません。
つまり、腸内に良い菌を数多く育てておけば、多少の悪い菌が入り込んでも、悪い菌はあっという間に撃退されてしまうのです。
また、悪い菌ではなく、良い菌が少量入り込んだとしても、元々いる別の良い菌の数が多ければ、後から入ってきた少量の良い菌は活躍できないことになります。
これらのことを考えるとチョコレートで0.0002%の乳酸菌を届けても、あまり効果を期待できないということなのです。
同じような菌の作用を知ることができるものがあります。
実は漬物が腐らないのは乳酸菌のおかげなのです。
漬物を漬ける際に少量の雑菌が入ったとしても、先に乳酸菌が増えてくれれば腐ることなく漬物が出来上がります。
では、どうやって腸内に良い菌を数多く育てることができるのか。
どこかの地域は長寿だ。
どこかの地域には血栓で亡くなる人が少ない。
どこかの地域には高血圧の人が少ない。
「だから、そこの食生活に習う」という考えがあります。
しかし、そのどこかの地域では、そもそも食生活が違う場合や、人種が違う場合があり、必ずしも私たちの腸内細菌を良くしてくれるとは限らないのです。
また少し脱線しますが、お隣さんからのお裾分けで、漬物をいただいたことはありますか。
いただいたことがある方は、必ず“うちの漬物”と味が違うと感じたのではないでしょうか。
これは漬物をつけてくれたお母さんの腸内細菌の味なのです。
だからお隣さんの漬物と味が違って当然です。
その“おふくろの味”がその人の腸内細菌を長い時間をかけて作り上げているのです。
つまり、免疫力を高めたくて、どこかの国のヨーグルトを食べたとしても、必ずしも免疫力を高めることにはならないのです。
コロナ禍で特定のヨーグルトがよく売れていると聞きましたが、その乳酸菌を元々持っている家族以外には、あまり効果が期待できません。
本題に戻ります。
では、どうすれば腸内に良い菌を増やすことができるのでしょうか。
それは良い菌を食べることよりも、もともと腸内にいる良い菌に“エサをやる”ことなのです。
【腸内細菌のエサ】
腸内細菌のエサは、①グルタミン、②食物繊維、③オリゴ糖の3つです。
病院などで大きな手術の前に、抵抗力を上げるために使われている栄養剤があります。
GFOという名前の栄養剤で、腸内細菌を良くするために使われております。
Gはグルタミン、Fは食物繊維(ファイバー)、Oはオリゴ糖の略なのです。
この3つの栄養を食事でしっかりとって、腸に届けることが何よりも腸内に良い細菌を増やすことになるのです。
かなり長くなってしまいましたが、どんな食事をとればGFOを腸に届けることができるのか、更にどんなことに注意して生活をすれば腸内細菌を良い状態に保てるのかを次のコラムで解説させていただきます。
小松 信隆