Informationにも記載しましたが、10月30日にWebの骨粗鬆症セミナーで講演をさせていただきました。
今回は「骨折の危険性の高い患者さんへの治療戦略」というタイトルでした。
さて、「骨折の危険性の高い患者さん」とはどんな方でしょうか?
骨粗鬆症ガイドラインで示されている「骨折の危険性の高い患者さん」の基準は4つあります。
①骨密度が若年成人と比較して60%以下の人
②背骨の骨折が2つ以上ある人
③背骨の骨折が高度に潰れている人
④骨密度が若年成人と比較して70%以下、かつ転倒などで骨折をしたことのある人
なかなか難しいですね・・・
上の4つの判断は、医療従事者が行う基準となりますので、みなさんは覚える必要はありません。
ただこれとは別に覚えておいてもらいたいことが1つあります。
それは「骨折を起こした後1〜2年は再度骨折をしやすい」ということです。
骨粗しょう症患者さんは、骨折を繰り返すことが問題となっています。
1つ骨折があると、別の部位の骨折を起こしやすい。
さらに2つ目の骨折があると、3つ目の骨折をさらに起こしやすくなる。
そんなことが明らかとなっています。
国際骨粗鬆症財団では「STOP AT ONE」という合言葉があります。
「1つの骨折で終わりにしよう!」という意味です。
骨折を一度も起こさないように予防することはもちろん大切ですが、もし骨折を起こしてしまったとしても、1回の骨折で終わりにするために、きちんと骨粗しょう症の治療をして、骨折を予防することが大切です。
上のグラフは、1回目の骨折を起こした後、2回目の骨折を起こす時期を示しています。
つまり初回骨折から1〜2年の間が圧倒的に、2回目の骨折を起こしやすいのです。
もし、骨折を起こしてしまった場合は、骨折の治療はもちろんのこと、今後のさらなる骨折を予防するために、骨粗しょう症の検査・治療が必要です。
骨粗しょう症の検査では、骨密度だけでなく、ビタミンDを含めた骨の代謝の状態の評価、骨質の評価、筋肉量の評価(転びやすさ)、個々の骨折リスク因子などの評価が重要です。
治療では、代謝の状態に応じた適した薬剤、骨折のリスクの高い1〜2年の間にしっかり骨密度が増える薬剤の選択、薬だけでなく転ばない身体づくり、栄養面での介入が必要です。
骨粗しょう症の治療も日々進化しています。
以前から行われているようなただひたすら薬を飲めばよいというものではありません。
骨密度の目標値を定めて、それを到達させるために必要な薬剤選択、患者さん自身の理解や治療意欲、日光浴や運動・食事など生活習慣の見直し、治療継続のための医療スタッフのサポートなどが必要です。
当院は「骨粗しょう症のチーム医療」に力を入れています。
骨折を起こしてしまった後の骨粗しょう症治療、ぜひご相談ください。
もちろん、骨折を起こす前の予防のための骨粗しょう症検査も大歓迎です。
お気軽にご相談ください。